この物語は、主人公のケイが自殺した兄の元恋人であるルミに出会うことで動き出す。渋谷のクラブで働く23歳のケイは人生の目的もわからないままセックスとドラッグに溺れながらも、ルミに対して芽生えてしまった純愛に沈んでいく。
例えば美しい星空を見るとわけもなく涙がこぼれる――そんな体験を誰しも一度はしたことがあるのではないだろうか。希望と絶望に満ちた本作品の舞台は都会から海へ。渋谷のクラブのネオンとEDM、漆黒の海の波の音、何にも邪魔されない海の奥底と現代音楽、それらの美しい映像と音楽の力と情報遮断された映画館という空間に身を委ねていると、いつしか作品の世界へと没入し、誰しもが一度は抱えたことのある心の奥底にしまってある感情が呼び起こされるだろう。それこそが映画館でしか体験できない、魂で感じる作品の世界という海へのDIVE(没入)体験となる。